「ワイヤー矯正で、なぜ歯が動くのか?」
日々少しずつ動いていく歯を見て、そんな疑問を抱いたことはありませんか?
歯が移動する仕組みには、顎の骨や歯根膜が関係しており、矯正治療には専門的な力のコントロールが必要です。
本コラムでは、ワイヤー矯正の構造と、歯が動く医学的な原理について、歯科医師の視点からわかりやすく解説します。
ワイヤー矯正の構造
ワイヤー矯正は、以下の3つの部品で構成されています。
・ブラケット
・メインワイヤー
・結紮
ワイヤー矯正では、まずブラケットを歯の表面に接着します。メインワイヤーは形状記憶合金でできており、歯のブラケットに通して固定します。このメインワイヤーが元の形に戻ろうとする力を利用して、少しずつ歯を移動させていきます。結紮はメインワイヤーを固定するための細いワイヤーです。
矯正力が不十分な場合には、メインワイヤーに加えてパワーチェーンやコイルなどを使用する場合もあります。パワーチェーンはチェーン式のゴムで、その収縮力を活用して歯と歯の隙間を狭めるものです。コイルはメインワイヤーに通す金属の部品で、パワーチェーンとは逆に歯と歯の間を広げる役割を果たします。
ワイヤー矯正で歯が動く仕組み
メインワイヤーによって歯に圧力がかかると、歯根膜の片側が縮み、もう片側は引き延ばされます。歯根膜には一定の厚みを保とうとする性質があるため、厚みが変化すると接している顎の骨にまで変化が及びます。
圧力がかかっている側では破骨細胞により顎の骨は吸収され、反対側では骨芽細胞により骨が再生します。この骨の吸収と再生が繰り返されることにより、歯根膜とともに歯が移動していくのです。
ワイヤー矯正では、ワイヤーの繊細な調整をして理想的な歯並びへ整えていきます。そのため、経験豊富かつ信頼できる歯科医師のもとで治療を受けることが大切です。
当院では矯正治療に精通した歯科医師と連携して、患者さま一人ひとりに合った最適な治療を提供しております。矯正治療に関する無料カウンセリングも実施しておりますので、お気軽にご相談ください。
Q1:ワイヤー矯正で歯を動かせる距離はどのくらいですか?
A1:ワイヤー矯正によって、歯は1ヶ月で0.5~1mm程度動くといわれています。
Q2:ワイヤー矯正で歯を動かせないケースはありますか?
A2:はい、あります。インプラントを入れている場合や、事故や怪我などで歯根膜が失われ、歯根と骨が直接癒着している状態(アンキローシス)では、歯の移動は困難です。