「歯列矯正を始めてから、口臭が強くなった気がする…」
矯正中の方のなかには、このような不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。
矯正中の口腔内は、口臭を招きやすい環境になりがちです。しかし、正しいケアを行えば、清潔な口腔環境を維持しながら矯正を進めることは十分可能です。
本コラムでは、矯正中に発生する口臭の原因と、効果的な対策法を歯科医師の視点で解説します。
歯列矯正中に口臭が強くなりやすい原因
矯正治療中に口臭が強くなるのは、口腔内の環境が通常より不衛生になりやすいためです。
以下で、主な原因を解説します。
▼磨き残し
ワイヤーやブラケットなど矯正装置をつけていると、歯ブラシが届きにくく、汚れが残りやすくなります。
▼矯正装置の汚れ
矯正装置に食べかすや細菌が付着したままだと、装置自体がにおいの発生源になります。
▼口腔内の乾燥
矯正中は口腔内が乾燥しやすくなり、唾液の分泌量が減る場合があります。唾液の自浄作用が働かないため、細菌が繁殖しやすい状態になります。
▼口腔内の炎症
矯正装置による刺激や清掃不良により、口内炎や歯肉炎などの炎症が生じると、そこからにおいが発生する場合があります。
上記のいくつかの原因が重なると、さらに口臭リスクが高まります。
歯列矯正中の口臭対策
矯正中の口臭を防ぐためには、口腔内環境の改善が欠かせません。以下で、主な対策法をご紹介します。
▼丁寧な歯磨き
食後や就寝前は、必ず丁寧に歯を磨きましょう。出先などですぐに歯磨きできない場合は、うがいをするだけでも効果的です。
▼オーラルケアグッズの活用
ワイヤー矯正の場合は、装置部分の磨き残しが多くなります。タフトブラシ(毛束が一つだけのブラシ)などを用いて、装置の隙間まで磨くことを心がけましょう。また、デンタルフロスや歯間ブラシで歯と歯の間を清掃することも重要です。
▼矯正装置の洗浄
インビザラインなどマウスピース矯正の場合は、専用の洗浄剤を使ってマウスピースを清潔に保ちましょう。
▼唾液の分泌増加
口腔内の乾燥を防ぐためには、よく噛んで唾液の分泌を促すことも効果的です。定期的な水分摂取も心がけましょう。
▼歯科医院でのクリーニング
定期的に歯科医院でのプロフェッショナルクリーニングを受けることで、セルフケアでは取り切れない汚れを除去できます。
矯正中の口臭は、ケア次第で対策が可能です。当院では、クリーニングに加えてブラッシング指導も行っておりますので、セルフケアに不安や疑問を感じたときはぜひお気軽にご相談ください。
Q1:自分に口臭があるかどうかわかりません。歯科医院でチェックしてもらえますか?
A1:はい、可能です。当院では口臭測定器を用いて、客観的に口臭の強さを測定できます。また、唾液や使用後のデンタルフロス、コップやビニール袋に吹き込んだ息などで、口臭をセルフチェックする方法もあります。気になる場合はぜひ試してみてください。
Q2:マウスウォッシュは口臭予防になりますか?
A2:はい、一時的には口臭を予防できます。ただし、マウスウォッシュのみでは完璧に汚れを落とすことはできないため、歯磨きとの併用が必須です。