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歯科矯正治療後の「後戻り」をどう防ぐ?美しい歯並びをキープするための方法

歯科矯正治療後の「後戻り」をどう防ぐ?美しい歯並びをキープするための方法

矯正治療を終えて、鏡を見るたびに整った美しい歯並びに思わず笑顔になる――これは、長い治療期間を頑張り抜いた方にとって最高の瞬間です。

しかし、歯科矯正治療には、治療終了後も無視できない大きな課題があります。それが、「後戻り(リラプス)」です。

せっかく時間も費用もかけて手に入れた理想の歯並びが、元の状態に戻ってしまう現象、それが後戻りです。

この記事では、後戻りがなぜ起こるのか、そして美しい歯並びを一生涯キープするために、私たちができる最も重要かつ効果的な対策について、矯正歯科医の視点から詳しく解説します。

 

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なぜ「後戻り」は起こるのか?その根本原因を知る

後戻りとは、矯正治療によって動かした歯が、元の位置に戻ろうとする現象を指します。これは患者さんの不注意だけでなく、人間の身体の自然な仕組みによって引き起こされます。

歯を取り巻く組織の記憶

歯は、顎の骨(歯槽骨)の中に埋まっていますが、歯と骨の間には歯根膜(しこんまく)という薄い膜と、歯肉の中には歯周靭帯(ししゅうじんたい)や歯肉線維といった非常に強い弾力性を持つ繊維組織が存在します。

矯正治療で歯を動かす際、この周囲の組織は引き伸ばされたり、押し縮められたりしますが、治療が完了し装置が外されても、これらの組織はすぐには新しい位置に馴染みません。動かされた組織には「元の位置に戻ろうとする力(記憶)」が働き続けるため、この力が後戻りの主要な原因となります。

 

歯並びを乱す「口腔周囲の圧力」

後戻りを引き起こすのは、内部の組織の力だけではありません。日常生活の中で、歯は常に外部からのさまざまな圧力にさらされています。

・舌圧(ぜつあつ):舌で歯を押す癖(舌突出癖)や、誤った嚥下(飲み込み)の癖がある場合、舌が前歯や奥歯を内側から継続的に押し、後戻りを引き起こします。
・口唇圧・頬圧:唇や頬の筋肉が歯を外側から内側に押しつける力。
・悪い癖: 頬杖、爪を噛む癖、歯ぎしりや食いしばりといった癖も、歯に過度な負担をかけ、少しずつ歯をずらしていく原因となります。
・親知らずの影響:抜歯が必要な生え方をしている親知らずが、奥から前歯を押し出す力となり、後戻りの原因となることがあります。

 

後戻り対策の「主役」:保定期間とリテーナー

後戻りを防ぐために最も重要な役割を果たすのが、保定期間に行うリテーナー(保定装置)の使用です。

矯正治療の期間を「動的治療期間」と呼ぶのに対し、その後のリテーナーを使う期間を「保定期間」と呼びます。この保定期間は、動的治療期間と同じくらい、もしくはそれ以上に重要です。

リテーナーの役割とは?

リテーナーは、動的治療で整えた歯並びをそのままの位置で顎の骨に定着させるための装置です。

治療後、周囲組織が完全に新しい位置で安定するまでには、一般的に2〜3年かかるとされています。リテーナーは、この安定期間中に歯に「元の位置に戻らないように」圧力をかけ続け、歯槽骨や歯周組織の再構築を待ちます。

リテーナーの種類と正しい使い方

リテーナーには、大きく分けて「着脱式」と「固定式」の2種類があり、患者さんの歯並びやライフスタイルに応じて組み合わせて使用されます。

A. 着脱式(取り外し式)リテーナー
マウスピース型(クリアリテーナー):透明なマウスピース型の装置。目立たないため、最もよく使われます。

使用方法: 最初の数ヶ月は食事・歯磨き以外のほぼ終日(1日20時間以上)装着が必要です。その後、歯科医師の指示に従い、徐々に夜間のみへと移行していきます。
プレート型(ベッグリテーナーなど):歯の裏側を覆うプラスチックプレートと、表側を抑えるワイヤーで構成されています。

特徴: 歯茎と口蓋を覆うため、安定性が高いのが特徴です。


B. 固定式リテーナー(フィックスリテーナー)
特徴:犬歯から犬歯など、前歯の裏側に細いワイヤーを歯科用の接着剤で固定するタイプ。

メリット:患者さんが取り外す必要がないため、後戻りを最も確実に防げます。特に後戻りしやすい下顎の前歯に使用されることが多いです。
デメリット:自分で取り外せないため、歯磨きが難しくなり、プラークが溜まりやすくなります。フロスや歯間ブラシを使った丁寧なケアが必須です。

 

リテーナー使用の鉄則


・指示された装着時間を厳守する: 最初の1年間は特に重要です。「夜だけだから大丈夫」と自己判断で装着時間を減らすと、短期間で後戻りが始まるリスクが高まります。
・清掃を徹底する: 取り外し式リテーナーは毎日洗浄し、清潔に保ちましょう。固定式リテーナーの周囲は特に念入りに磨く必要があります。
・破損・紛失はすぐに連絡する: リテーナーが壊れたり、失くしたりした場合は、すぐに歯科医院に連絡し、新しいものを作り直す必要があります。数日外しただけでも後戻りが始まることがあります。

 

日常生活で後戻りを防ぐセルフケア

リテーナーの使用と並行して、後戻りの原因となる生活習慣を改善することも極めて重要です。

悪い癖を治すトレーニング(MFT)

後戻りの原因となる舌突出癖や低位舌(舌の位置が低い状態)は、意識的なトレーニング(MFT:口腔筋機能療法)で改善できる可能性があります。

・正しい舌の位置: 舌の先端をスポット(上顎のやや手前の部分)につけ、舌全体を上顎に吸い付けるように意識する。
・嚥下の改善: 飲み込むときに舌で前歯を押さないよう意識する。
これらの癖を直すことで、歯にかかる不必要な内側からの圧力を取り除き、歯並びの安定を助けます。

定期的な検診とクリーニング

矯正治療が終了しても、3〜6ヶ月に一度の定期検診は欠かせません。

・リテーナーのチェック:装着状態、変形、破損がないか、また固定式リテーナーの接着が取れていないかを確認してもらいます。
・歯並びのチェック:わずかな後戻りの兆候を早期に発見し、軽度のうちに再調整(リテーナーの修正などで済むことが多い)を行います。

食いしばり・歯ぎしりへの対処

夜間の強い食いしばりや歯ぎしりは、歯並びを歪ませる大きな原因となります。

・ナイトガード(マウスピース)の装着: 歯ぎしり対策用のマウスピースを夜間に装着することで、歯にかかる過剰な負荷を軽減し、後戻りを防ぐだけでなく、歯や顎関節の保護にもつながります。

 

まとめ:保定は「治療の一部」と認識する

矯正後の後戻りを防ぐ鍵は、保定期間を「治療の仕上げ」として、通常の治療と同じくらい真剣に取り組むことに尽きます。

歯科医師の指示通りにリテーナーを装着し、口腔周囲の悪習癖を改善し、定期的なメンテナンスを続けることが、美しい歯並びを一生維持するための唯一の方法です。

「リテーナーは面倒くさい」「もう歯並びは治ったから大丈夫」と油断せず、理想の笑顔を守るために、リテーナーの使用を日々の習慣として確立しましょう。

もし後戻りの兆候を感じたら、自己判断せず、すぐにクリニックに相談してください。早期発見であれば、ほとんどの場合、リテーナーの再調整や作り直しといった簡単な処置で対応可能です。

綺麗な歯並びは、あなたの自信となり、人生を豊かにしてくれます。さあ、最高の笑顔をキープしていきましょう!

 

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